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樹木医Q&A

よくある質問に答えるページです。

Q1:還元した土壌の見分け方を教えて下さい。

還元した土壌とは・・・・土壌中の酸素が不足している土壌のことです。 元々は水田のような低湿地で排水不良な場所に多く見られ、土壌分類的にはグライ土と呼ばれています。 このような土壌では樹木の根に十分な酸素がいきわたらず、いわゆる根腐れ状態を起こし生育不良や枯損の原因となります。 また、粘質土や排水不良の地点で有機質系の土壌改良材を利用した場合にも同様の現象が見られる場合があります。 土壌が還元状態になる理由は・・・・土壌中の微生物は酸素を利用しながら有機物を分解していきますが、 排水不良の場所では酸素消費量に対して通気量が不足するために還元状態が進むことになります。 その結果微生物相も初めは生育に酸素を必要とする好気性のものが優占していたのが、酸素なしにも生きてゆける嫌気性菌へと変化していきます。 そしてこうした微生物相の変化に伴って土壌の還元状態も更に進むことになります。 還元した土壌の見分け方・・・・還元が進んだ土壌では、土色は青色を帯びた灰色となります。 これは酸化的な状態では赤褐色を呈していた鉄化合物が(多くの土壌が褐色系の色をしているのは、こうした三価鉄の色によります)、 青色系の二価鉄化合物に変化するためです。そのため還元状態が進んだ土壌ほど青色が強くなります。 また同時にどぶ臭い異臭を放つようになります。 このように還元状態が顕著な場合には見間違うことは少ないですが、還元の程度が弱い場合にはその土色が元々の土壌の色なのか、 還元によるものなのか見分けが付かない場合があります。その場合にはジピリジル試験を行います。 ジピリジルは二価鉄と反応して赤く発色する指示薬で、その溶液を土壌にかけて発色の有無で判断を行います。 *ジピリジル溶液の作り方:a-a’-dipyridyl 1gを10パーセント酢酸溶液500mlに溶かして使用します。(美濃又哲男)

Q2:サクラの木の根の周辺に大きな白いきのこがたくさん生えてきました。大丈夫でしょうか?以前にパーク堆肥を施用しましたが、その影響でしょうか?

まず、きのこの区分にはいろいろな分け方があります。 1.食べられるきのこと毒きのこ・・・・もっとも一般的でなおかつ一番関心がある区分です。「樹木医」には直接関係はありません。 2.菌根菌と腐生菌・・・・マツタケの人工栽培がなぜむずかしいのか、という話からはじめなければならず、長くなるので今回は省略。 3.木材腐朽菌と落葉分解菌・・・・木から直接生えていたか、地面から生えていたかで区分する方法のひとつ。 4.共生菌と寄生菌・・・・「樹木医」にとって一番重要な区分になると思われます。このほかにもたくさんの区分の仕方があります。 バーク堆肥はバランスのとれた有機肥料としてよく使われています。バーク堆肥については本誌のNo.7でくわしく説明されています。 製造(堆肥化)の過程で様々な菌類が関与するようで、そのなかには子実体を形成する担子菌類、いわゆる「きのこ」もたくさん存在するようです。 今回発生がみられたきのこはオオシロカラカサタケ(写真)でしたが、 そのほかにも同じハラタケの仲間やムラサキシメジの仲間、ヒトヨタケの仲間なども発生するようです。 これらのきのこはいずれも「腐生菌」とよばれるグループにはいります。 今回の相談のきのこは活物寄生菌であるという報告はないようなのでサクラにとっての直接の影響は考えにくいと思われます。 しかし、ビニールハウスのような閉鎖された環境では菌が繁殖していく過程の発熱により作物が枯れてしまった、という報告もあるようです。 バーク堆肥や腐葉土は優れた有機肥料として樹木の樹勢回復には欠かせないもののひとつです。 施肥後の樹勢の観察(上方の)とともに生えてくるかもしれないきのこの観察(下方の)もしてみてはいかがでしょうか? なお、オオシロカラカサタケは有毒ですので絶対に食べないこと。(川島祐介)



Q3:樹木の地上部を対象とした診断では”活力判定”や”健全度判定”など色々な判定がなされているようですが、現在どのようなスタイルのものが一般的に行われているのでしょうか?

樹木の診断では現状の生育状態を知ることは極めて重要な項目であることはいうまでもありません。 ご存知のように、科学技術庁資源調査会が昭和47年5月に出した「高密度地域における資源利用と環境保全の調和に関する勧告」 という中に示してある「樹木活力度評価基準」で、樹勢・樹形・枝の伸長量・梢端の枯損・枝葉密度などの13項目について 4段階評価したものが基本的なものとして多く利用されていますが、近年では、 さらにその主要項目に幹や大枝などの損傷や樹皮の新陳代謝の程度を加えることで樹木の生育の方向性を勘案した 「衰退度判定」((財)日本緑化センター「樹木診断報告書様式試案(平成13年3月)」)があり、 老齢樹や大径木などを対象に多く用いられています。 さらに、幹や大枝の腐朽程度に重点を置いたものとして、樹木の「健全度判定」が挙げられます。 これは東京都で行われている街路樹診断事業の中の樹木診断カルテ(街路樹診断マニュアル:東京都建設局公園緑地部計画課道路緑化係)に 用いられているもので、倒木などの危険性を把握する為に使用されているものです。 現在使用されている樹木診断の判定方法は、大きく分けて以上の3種類が代表といえます。 それらの派生型として、必要に応じて変形型があるようです。(神庭正則)

Q4:個人邸の庭設計において、クライアントから「子供の自然教育のため、庭木に食べられるドングリの木を植えて欲しい」と依頼されました。できるだけ、アクぬき作業無しで食べられるもの、と言う条件で考えているのですが可能でしょうか?

可能です。ただし毎年剪定を行う場合、ドングリがつきにくい、種類によっては翌年熟するものがあること、 などの説明がクライアントに対して必要でしょう。 広義のドングリはブナ科の樹木の堅果の総称とされていますが、一般的には団栗の字義のとおり、クリ属、ブナ属のものは除外されるようです。 つまりドングリの木とは、ブナ科(Fagaceae)のコナラ属(Quercus)、シイ属(Castanopsis)、マテバシイ属(Lithocarpus)などに属するので、 コナラ属では、常緑がカシの木、落葉がナラの木と、大まかに呼ばれています。クリ属のクリは別格として、 ツブラジイ、マテバシイ、イチイガシ、シリブカガシなどのドングリは、アクぬき無しで、炒ったり、炊いたり、粉から団子にして食することが可能です。 スダジイを食用にされた経験のある方も多いかもしれません。 調理するにあたっては、殻斗をはずし、小さな穴があいていないか、確認します。(虫食いの有無の確認) さらに水中に入れ、沈むものだけを食用します。(虫食いのドングリ、古いドングリは、水に浮かぶ) あとは炒ってお好みで塩をふりかけ食べるのがポピュラーな食べ方です。 コナラ、ナラガシワ、ミズナラなどは、渋みが強いので水にさらし、アクぬきをして粉にしてからでないと、食べることができません。 今回ご紹介した樹木は、いずれも高木であり成長後の管理に対しての配慮が必要です。 現代と比べ、食料事情が厳かった時代には、凶作にそなえ屋敷林に、食べやすい実をつけるシイノキが選ばれていたようです。(大島 渡)

Q5:推定樹齢200年のクロマツの移植を依頼されました。どうしても枯らせたくないので、今回はかねて聞いていた林試移植法の採用を考えています。成功させるには、作業上どのような点に注意すればよいかを具体的に教えてください。

林試移植法は、故植村誠次博士が考案した移植法で、信頼性の高い、根回し技術です。 その特色は、根鉢の外周部分の太根に環状剥皮を施し、 良質の堆肥を投入することによって通常の根回しに比べより多くの発根を促すことができる点にあるといえます。 いかに優れた方法であっても、やはり一つ一つの作業の丁寧さが樹木の活着を左右するカギとなります。 そこで本移植法をより確実に成功させるための作業上の注意点を以下にあげてみます。 1.堆肥の品質は発根の成否を決めるカナメとなるものなので、信頼のおける優良品の完熟堆肥を選定することが必要です。 2.環状剥皮の作業では、根の下側(裏側)部分が視界に入りにくいので、樹皮が完全にとりきれないことがあります。 樹皮がのこると剥皮したところがつながってしまい、堆肥層の中でも発根が起きないという結果を招くので、 裏側は手鏡を使ってのぞきながら丁寧にはがします。 3.アゼシートが完全に覆われていないとせっかく発根した根が隙間から外側に出てしまい、この根をあとで切るハメになるので、 太根の周囲や継ぎ目などは隙間を作らないように、ガムテープなどできちんと塞いでおきます。 4.掘取り作業が長びく場合は露わになった根を乾燥させないように、新聞紙などでくるみ噴霧器でしめらせておきます。 なお作業のための掘取り幅は少ない方が、根に負担をあたえないことになります。 5.根回し後、シートの内部は乾燥しやすいので、夏の期間は根元土壌を観察し、状況によって潅水を心がけます。 6.掘り取り・移植時はアゼシートごと根巻きを行い、シートは移動後の埋め戻しの時に初めて外します。 *なお林試移植法に関しては「樹木医完全マニュアル」(堀大才 牧野出版 1999)に詳しい記載があります。(多田 亨)




Q6:適湿地の土壌改良にパーライトの混入を検討していたところ、パーライトには保水用と排水用の二種類があると聞きました.その区別と使用効果の違いについて教えてください。

パーライトは火成岩中の火山ガラスを800-1100度で焼成して約5-25倍に膨張させたもので、 日本における土壌改良用としては3種類のものが知られています。 分類は原石の違いによって分けられており、土壌改良効果も異なります。 アメリカでパーライト(Perlite)と言えば真珠岩の事をさし、焼成して膨張したものをExpanded Perlite と呼びます。 しかし日本工業規格(JIS A 5007)では「原石を粉砕、焼成、膨張させたもの」を総称してパーライトと規定しています。 そのため日本では真珠岩(Perlite)に加え、黒曜石(Obsidian)や松脂岩(Pitch Stone)を焼成、膨張したものもパーライトと呼ばれています。 いずれの原石も化学組成はよく似ており、無害、無臭で耐薬品性があり、pHは中性を示します。 焼成、膨張させると形状が異なるのは、原石に含まれる結晶水の量によるものです。 結晶水が多いと焼成時に割目を生じ、内容がスポンジ状の連通気孔となり、粉状あるいは粉が固まった状態の粒子となります。 結晶水が少ないと空気を抱み込んだ独立気泡を有する骨材となり、ビーズ状の粒子となります。 真珠岩、松脂岩の結晶水の量は多く、黒曜石はほとんど含みません。 それぞれ呼び名や化学組成が似かよっていることから、同じ効用を示すものと思われがちですが、 土壌改良材として用いる場合はまったく異なる性能を発揮するので注意を要します。 真珠岩パーライトは土壌に混入すると主に保水性を改善しますが、透水性の改善には顕著な効果はありません。 黒曜石パーライトは土壌に混入することで透水性の改善は行えますが、保水性改善にはそれほどの効果を示しません。 この質問では過湿地の改良を検討されていますので、土壌粗間隙を高め通気性や透水性を高めることが必要です。 それには黒曜石パーライトが適しています。 参考のため粘質土に対して10パーセント、20パーセント、30パーセントの割合で改良材を混入した場合、 粗間隙がどの程度増えるのかを示したデータを掲載しておきます。(笠松滋久)



Q7:現在、植物ホルモンとして7種が知られていますが、最近、新しい植物ホルモンとして認知されたジャスモン酸についてお知らせください。

植物ホルモンの研究者、鳥取大学教授山本福壽さんに取材しました。 ジャスモン酸とは、オーキシン、シベレリン、サイトカイニン、アブシジン酸、エチレン、プラシノステロイドに続いて、 第7番目に認知された植物ホルモンです。 ジャスモン酸は、脂肪酸のひとつのリノレン酸を前駆物質として生合成される物質で、ジャスミンの精油や香油のひとつの成分として知られていました。 植物の体のどこでも作られ、またあらゆる植物で検出できます。動物でさまざまな生理活性をもつプロスタグランジンと生合成過程も構造もよく似ています。 その生理作用の主なものは以下のとおりです。 1.果実の熟化・・・・トマトやリンゴにジャスモン酸を与えるとエチレン生成が急増し、果実の熟化が促進されます。 この実験から、ジャスモン酸はエチレンの生合成経路に重要なACC合成酵素やACC酸化酵素の生成に関与していることがわかりました。 2.ガム物質の蓄積・・・・サクラの幹などに傷を与えると、傷口にガム状物質が生成されます。また組織内の二次代謝産物合成も活性化します。 このような反応は、ジャスモン酸が引き起こしたものです。 これらは傷口への雑菌の侵入を防ぐために機能しており、やはり、エチレンの生合成とセットになっています。 実際、樹木の傷口で増加するジャスモン酸が、傷の癒合を促進することに直接関係するかどうかは今のところ不明。 3.落葉の促進・・・・落葉(離層の形成)は昔はABAが作用するとされてきましたが、今はエチレンが調節することが知られています。 しかし、ジャスモン酸も離層形成を強く促進することもわかってきました。 この場合、ジャスモン酸がエチレンを増やすために離層が作られるわけではないらしく、何らかの別の機構が働いているのかもしれません。 落葉の促進には、同時にクロロフィルの分解などの老化促進も伴っており、これにもジャスモン酸は関与しているようです。 4.休眠打破・・・・トチノキの休眠芽の開芽は、ジャスモン酸処理で2週間早くなることを認めています。種子の発芽も促進します。 しかし、休眠が打破された草本植物の種子に処理すると、今度は成長を抑制するとの報告が行われています。 この時のジベレリンの挙動を、今調べているところです。 5.ジャガイモの塊茎形成の誘導・・・・ジャスモン酸に関連する化合物がジャガイモ塊茎を誘導するようです。 ジャスモン酸はジャスミンの香り成分に近い物質ですから、いい匂いがします。 それだけに分析が難しく、いろいろ操作しているうちに成分が飛んでしまいます。 鳥取大学では、高速液体クロマトグラフィーや抗原抗体反応を用いた分析法によって、正確な定量方法を探っているところです。 ジャスモン酸はアブシジン酸、エチレンと並んでストレスに対応するための調節機能を持つストレスファクターであると考えられています。 ジャスモン酸を処理すると、いくつかのたんぱく質が誘導されますが、塩ストレスや酸欠ストレス、 高温ストレスなどによって誘導されるたんぱく質とも異なっており、このホルモンがどのような働きをしているのか、現在、研究は進行中。 植物化学調節学会でも毎年、新情報が報告されています。(石井誠治)

Q8:コケ庭を作りたいと思いますがどんな種類のコケが適していますか。また、最近「モスアート」という言葉を耳にしますが何のことですか。

現在、日本のコケ植物は約2500種あります。 これらのコケは大別すると蘚類(スギゴケやハイゴケの仲間など)、苔類(ゼニゴケやウロコゴケの仲間など)、ツノゴケ類の3つのグループに分けられます。 このうちコケ庭につかわれるのは主に蘚類です。 コケ庭づくりのポイントとしてはコケにとってよい生育環境をつくることと生育環境(風土)に合った種類を選ぶことです。 生育環境条件(要因)として日照、湿度、通風、土壌などが挙げられます。 これらの条件はコケの生育上は複合的に作用するものですが、中でも日照との関係が最も重要と思われます。 コケ庭づくりの権威者の大石(1996)は、日照条件との関係、コケ庭づくりに使用する主な種類を次表のように挙げています。 大石氏は石川県の方ですが、これらの種類は日本の広範囲な地域に自生しており、各地でのコケ庭づくりに参考となります。 さらに地域に適した種類を探し加えれば、コケ庭づくりの楽しみが増すことでしょう。 「モスアート」について田邊(1997)は、「人工的に培養したコケを使って造形した庭園や装飾のことを言うようです。 現在、美しさや性質等も天然に育ったコケと変わらないものが商品化されています。 培養種ですので、自然を破壊する心配がない」と述べています。 さて、コケは成長もゆっくりですので、刈り込みもいらないし、通常、肥料も不要です。 皆さん、ちょっとした庭のオープンスペースや屋上などでコケ庭を楽しみながら育てるのも乙なものですよ。(福田廣一) 引用文献・・・・大石鉄郎。1996。コケ庭づくりと管理のポイント。 高木典雄・生出智哉・吉田文雄(監・執)、コケの世界-箱根美術館のコケ庭-。 MOA、東京。182pp。田邊光夫。1997。コケの人工培養と屋上緑化への応用。 日本蘚苔類学会第26回広島大会発表要旨集:S-3 *コケを調べるための最適図鑑紹介*平凡社。日本の野生植物コケ。岩月善之助(編)。2001。


Q9:10月中旬、「町の寺院の裏庭のツツジに糸状のものがびっしり着いています。ツツジが枯れてきているようなので除去したいとおもいます。良い方法があったら教えてください。」

標本を送って下さった町の文化財保護審議会委員の先生の話によると、現地は、周囲がうっそうとしたスギ木立につつまれ、 沢水をためた池が本堂のすぐ後ろにあり、その池の際からスギ林までの間にツツジやツゲの植え込みされた庭園で、 ツツジやツゲの樹枝にびっしりと問題の生物が付着していてその量は驚くほどとのことです。 すぐ調べてみるとこれは渓谷などの空中湿度の高いところに生育する樹木の樹枝に生える懸垂性のコケ(蘚類)で キヨスミイトゴケ Arbellba asperifolia というものでした。 日本で最初に千葉県の清澄山でみつけられた糸の様なコケということでそのように呼ばれています。 除去の方法ですが、今回のようなコイの棲む池では薬剤も使えませんし、コケについてはTree Docter No.5 にも書いたように、 基本的にコケは着生木に害を与えることはないと思われます。 しかし今回のように葉の上にも幾分コケが出たり樹枝間にびっしり生えている場合、まず丁寧に手で取り除くのもよいでしょう。 さらに、ツツジなどの生育環境としては過湿地でありますので通気性を高める意味でも、とくに下草の刈り取り管理を適切にする必要があります。 現地の下草の生い茂った状況をみて、ツツジなどの下枝の枯れ込みはコケの直接的な影響でなく、おもに下草の被圧によるものと考えられます。 こまめな下草刈りといった管理が非常に重要ですね。皆さんもこのようなコケに出会うことがあるかと思います。 そのとき特に生育環境に配慮する必要があると思われることでしょう。(福田廣一)



Q10:春に新しく出たキリの葉が縮れてしまいます。見苦しいので農薬を散布したところ夏頃から目立たなくなりました。一応、農薬の効果は出ている様ですが、毎年、同じ症状が出るのが気がかりです。何か対策はあるのでしょうか。

症状からすると、恐らくモザイク病と思われます。 これは、キュウリモザイクウイルス(CMV)の感染によって起こる病気で、キリが植栽されている地域では普通に見られます。 夏頃に目立たなくなるのは、夏期の高温により症状が隠蔽(マスキング)された為で、農薬の効果ではないと思われます。 どの様な農薬を散布されたのかは分かりませんが、今までにウイルスに効果のある農薬は見つかっていないので、 CMVに感染してしまった植物に農薬を散布しても効果はありません。 ウイルスはキリの体内に残ったままですが、幸いCMVはキリの成育にそれほど大きな影響を与えないようです。 CMVは野菜・花*・樹木・雑草など多くの植物に感染するので、CMVに感染したキリが伝染源になることも考えられます。 近くで農作物を栽培している場合は、CMVの媒介昆虫であるアブラムシを防除した方が良いでしょう。(都築司幸)

Q11:家にある松の木の葉が去年の8月末頃から急に茶色くなりました。テレビでマツノ材線虫病という病気を知りましたが、その材線虫が居るのかどうかを実際に調べてみたくなりました。自分でできる方法が有りましたら教えて下さい。

自分で調べる場合には、以下の簡単な方法がありますので、試してみて下さい。 まず、下図の様な装置が必要です。・まず松の材を採ってきます。細かくしたほうがよいので、ドリルなどで採ると便利です。 ・その材をその装置の濾紙の中に入れます。・ロートに蒸留水を注ぎ、数日間放置します。 (冬など寒い時期には、ザイセンチュウの動きも鈍いので、一週間程度放置するほうがよい場合があります。) ・ゴム管のクリップを外し、松の材を浸した蒸留水をシャーレなどで受けます。 ザイセンチュウがいれば、そのシャーレの中で見ることが出来ます。 白い1mm程度のひも状ですので肉眼でも見ることが出来ますが、10倍程度のルーペや虫眼鏡のほうがよく判ります。 一度試して下さい。(神庭正則)


Q12:バーク堆肥の品質の善し悪しはC/N比を確認すれば良いと聞きましたがC/N比とはなんですか?また、それが品質の基準となるのでしょうか。

有機物は物理性、化学性、生物性の改善を目的に施用されることが多く、その中でも最も多く施用されているのがバーク堆肥です。 バーク堆肥とは粉砕した樹皮に窒素を添加し、長期間堆積醗酵させたものです。 その品質は添加された窒素により各々違うので、品質表示を確認する必要があります。 C/N比は品質表示の中でも重要な項目の1つで、有機物中の全炭素と全窒素の含有比率で炭素率ともいいます。 新鮮な有機物を土壌中に施用した場合、微生物による急激な分解が起こり、この時微生物は炭素と同時に窒素も体内に取り込みます。 炭素が多くそれに見合った窒素が有機物から供給されない場合、微生物はその窒素を土壌に求めようとしますが、 土壌中の窒素は植物が利用するものであり、それを微生物が吸収した場合、土壌は窒素不足になり植物の葉が黄色化したり、生育の抑制などが起こります。 この様な事が無いよう、有機物のC/N比を測り微生物が分解する際の炭素に見合った窒素があるかどうかを確認する事が必要で、 通常10-30の値を示すものが良質なものとされています。 ただし、醗酵が未熟なものでも窒素肥料を加える事で分析上の値は操作できるので、この値のみで善し悪しの判断は危険です。 堆肥分析値の各項目をチェックすればよいわけですが、簡単なチェック方法としては、 1.木片を割って腐熟の度合いを見る 2.色が暗褐色または黒褐色 3.強いアンモニア臭がしない 4.手で触った時べたつかない程度の水分がある等を確認することをお勧めします。 もし窒素含量が低くC/N比の高いバーク堆肥しか手に入らない場合は、窒素肥料を添加して土壌表層に混合して使うか、 マルチング資材として使えば問題は起りません。(笠松滋久)

Q13:老木にヒコバエが多く発生しており、取り除くか育てるか迷っております。現在梢端より1/4程枯れ下がってきている状態で、このまま放置すればやがて枯死するのではと思われます。

ヒコバエとは幹の根元近くや、地上近くの根部分より発生する萌芽枝の事をさします。 樹勢が弱ってきた場合などに発生する事が多く、樹形を乱したり養分を取りすぎたりするなどの欠点があります。 放置すると樹勢を衰弱させるので、一般的には剪定する際に取り除くことが多い。 地上部が旺盛な生育を行っている場合はこのような対応で良いのですが、ご質問のような老木の場合、ヒコバエの取扱いには判断に迷う事があります。 このような場合、判断基準としてその樹木が近いうちに枯死に至りそうか、まだ回復の見込みがありそうかで選択するのがよいかと思われます。 近い将来枯れる事が予想される場合は優良なものを残し、後継枝として利用すれば良いと考えます。 低い位置から出る萌芽枝は強く健全で、安全な樹木として成長する事が多く、 腐朽はめったに主幹の切株より萌芽枝に広がらないとシャイゴ博士も言っております。 萌芽枝が腐朽菌に感染するケースとしては、成長した萌芽枝がまだ腐朽していない切株を圧迫した箇所からの感染や、 他の死んだ萌芽枝の基部からの感染が考えられます。 その為切株は地面すれすれになるように切り、萌芽枝も選別して不要なものは切除しておく必要があります。 ご質問にあるような老木の場合は、樹勢が衰退しているとは言えまだ3/4程の樹体が生きていることを考えるとヒコバエを切除し、 適切な治療や土壌改良を施して様子を見ることがよいと思われます。(笠松滋久)