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兵庫県

千年フジ

写真 スノコの設置
所在地 宍粟市山崎町上寺 大歳神社境内
指定 兵庫県指定天然記念物
幹周 326㎝
樹高 3m
概要 千年フジは宍粟市山崎町上寺大歳神社境内の真ん中にあり、天徳4年上寺村の与衛門が植えしと伝えられています。兵庫県指定天然記念物で幹周は3mを越え、境内約600㎡のほとんどがフジ棚になっています。大きさ、樹齢とも全国の上位にランクされ、環境省の香り百選にも選ばれる立派な巨木です。フジは他の樹木と異なり、毎年藤棚への誘引、施肥、剪定、実取り、害虫防除などの手入れが必要です。すべて地元保存会の皆さんのボランティアで維持されています。樹木医とのかかわりは平成7年から始まりました。房が短くなった、昔のような立派な長い房にならないだろうか、という相談でした。まだ樹木医制度が出来てそれほど経っていないころの事です。皆で集まって調査し、次の対策を考えました。

1.地面が踏み固められ根らしいものがほとんどないので、踏圧を防ぐために境内全面にスノコを敷く。
2.昔あった水路が無くなり水がもらえなくなっているので、潅水装置を設置する。
3.カミキリムシなどの害虫退治をする。
4.遅効性肥料を施肥し、冬の剪定を徹底する。

以上の作業を徹底したところ、フジは立派に回復し、今では年間約5万人の花見客が訪れています。
写真 不定根の誘導
写真 満開の千年フジ

光福寺の大イトザクラ

写真 土壌改良状況
所在地 佐用町漆野
指定 兵庫県指定天然記念物
樹高 10m
根回り 8m
概要 「光福寺の大イトザクラ」は樹齢300年と古く、樹高、根元周囲、枝張りとも大きく、西播磨地方ではまれに見る巨樹であり、開花期だけでなく一年を通じて多くの人が鑑賞に訪れています。20年ほど前から樹勢の衰退が目立ち始め、数回治療を施しましたが、近年衰退が目立つので平成19年と20年に樹木医が次の治療を行いました。

1.地上部:根元から腐り内部が空洞化している部分は土を取り除いて空洞部を露出し、FRPで被覆して雨水の侵入を防ぐ。枯れ枝は切り落とし、切り口にバッチレートを塗りカルス形成を促進する。幹から胴吹きしている不定枝は将来の主幹に誘導するため1~2本残す。サクラの地際に見られる不定根は地上に誘導しサクラの樹勢を強化する。点滴灌水するためドリップソーカーを60mめぐらし、タイマーを付けて灌水する。
2.地下部:柵内はサクラ周辺を放射状に5本の溝を掘り改良土壌を埋め戻す。花壇となっている柵外の約50㎡は覆土を取り除き短冊状に溝を掘り改良土穣で埋め戻す。
3.その結果、平成21年春には葉量、花の量とも著しく増加しました。
写真 満開の大イトザクラ

ヒダリマキガヤ

写真 施工直後
所在地 養父市能座
指定 国指定天然記念物
樹高 20m
幹周 692㎝
根回り 900㎝
概要 ヒダリマキガヤは京都府知事として琵琶湖水を完成させた北垣国道男爵の旧宅跡地にあり、昭和26年6月に国の天然記念物に指定され、地元では「かやのきさん」として親しまれてきました。平成5年台風の影響で北側斜面が崩壊したことなどから樹勢の衰えが目立ち、9年と15年に樹木医による樹勢診断が行われ、根系の衰えが報告されました。この結果を受けて19年~21年まで3年間、国保事業として“建屋のヒダリマキガヤ保護再生事業”が行われ樹木医が治療にあたりました。

1.土壌条件を改良するため、根系の発達が悪かったカヤの根端に沿って、幅100㎝、深さ30㎝の溝を帯状に作り、改良混合土壌を入れた。根系先端に栄養と土壌改良を目的に混合液を十分散布しました。
2.水分不足を補うため深さ40㎝の水路を敷地の東端から5.3mの所から北に向かい約17m、樹体の周囲をほぼ半周する形でめぐらした。水路での水分不足を補うため、4箇所にスプリンクラーを設置し、シンカータイマーにより1週間に1回30分散水できるようにしました。
3.樹木治療として、積雪又は強風による折損防ぐため、太枝の付け根から吊支柱を5カ所設置しました。
4.そのほか、多くの見学者にカヤを見てもらうため、案内板を設置し、ロープ柵を張り、木道を作り、補修しました。地元の人の好意もあって駐車場が作られました。
5.土壌改良の効果は22年ごろからとカヤの実の大きさや数、枝葉の増加として現われました。
写真 施工から3年後
写真 果実が肥大

口大屋の大アベマキ

写真 カシノナガキクイムシ対策
所在地 養父市大屋町中法仙地
指定 国指定天然記念物
樹齢 約400年
樹高 約15m
幹回り 約474㎝
概要 地元では大クヌギと呼び、神の宿木と呼び大切に保存されて来ました。また境界争等多くの伝説が残っています。 このアベマキの古木は、現在分かっているだけでも幾多の災難をくぐり抜けています。まず昭和の初め頃、落雷に遭い株元まで大きな割れ目が生じました。昭和40年代には台風の風により斜面下に伸びていた大枝が破損しました(ひょうご巨樹・巨木100選引用)。
最近では、カシノナガキクイムシが発生して、周辺のブナ科(コナラ・ミズナラ・シラカシ・アベマキ・クヌギ等)を衰退・枯損状況にしており、この大アベマキも虫の被害を受けましたが、樹木医の防除技術と養父市の行政的援助で危機を脱出し、一部幹が腐朽していますが、生命の危機は脱しました。
同じ国指定天然記念物の樽見の大ザクラから徒歩20分の所にあります。

神前の大クス

写真 大クスの樹幹
所在地 神戸市灘区神前町
指定 兵庫県指定天然記念物
樹高 24.5m
幹周 8.7m・6.7m(2株合体)
概要 平成7年1月17日の阪神淡路大震災の被害を受けて、大枝の1本(長さ6.0m、直径0.66m)が折損落下した。11月折損部の治療、腐朽部の治療、主幹表皮の折損部対応処理、インゼェクション工法による土壌改良を一般公開により施工しました。一般市民、樹木医会会員、自治会等から約80名の見学者がありました。高さ20m、幅8mの丸太足場と道板を組み、治療、施工し、マスコミにも取り上げられました。
平成16年10月台風23号により樹勢回復していた新梢がことごとく折損し、残材ゴミは2tトラック2台分ありました。平成17年8月、県、市、地元3者の負担で、3年計画で再保全に取り組み、1年目:大枝の剪定、障害枝の剪定、ブランコ支柱2基設置、2年目:インゼェクション工法による土壌改良、ブランコ支柱の1基設置、3年目:根系保全のため石柱・クサリ柵の設置を行い、この間樹木医会会員・自治会・一般市民に研修会を行いました。
現在、樹勢旺盛で地域のシンボル樹に回復しています。
写真 ふた株になっている根元