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合格体験記 (第9期)

樹木医の資格って何だろう

(株)富士植木 鶴井可葉

 「樹木医を受けてみないか」と上司に勧められたのが、私が受験するきかっけでした。私の会社には樹木医が一人いるので資格の存在はもち ろん知っていましたし、興味はあったのですが自分ではまだまだ経験も足りないし、仕事の責任を背負えるだけの能力も自覚も足りないと思 っていたので、受けるかどうか少し悩みました。「もう少し経験を積んだ人の持つ資格じゃないのかな」と思いましたが、経験を積んだ頃には 年とって頭が固くなって試験なんてなかなか受からなくなるものだという上司のありがたい忠告に従い、だめでもともと受けてみることにし ました。

 だめ元とは言っても受けるからには受かりたいのが人情で、どんな問題が出るのか情報を集めることにしましたが、会社の受験経験者はと にかく難しいの一点ばりでらちがあかないので、問題集をもらえるという講習会に参加する事にしました。ところが行ってみてまず思った のが、「私のようなこわっぱが受けるもんじゃないよ…」ということでした。

 年齢層が高い、専門家としての自信にあふれている(そう見える)、なんか顔見知り同士が多いみたい(ますます疎外感)、というわけで すっかりがっかりして帰ってきましたが、問題集を解いてみてさらに自信をなくしてしまいました。「難しい…」

 そこで頼みの綱は会社の樹木医さんです。過去の樹木医としての仕事の資料をもらったり、進行中の現場を見せてもらったりといろいろ教 えてもらいましたが、中でも一番ためになったのが、今まで私がしてきた仕事の樹木医としての視点を教わったことです。私は入社以来ずっ と設計をしてきたので、いわゆる現場経験はあまりないのですが、設計の中で土壌改良などで樹勢回復を試みたり、樹林地の活性化を計画し たりする仕事はいくつかしてきました。それが樹木の生理に基づいて様々な角度から検討されていて、経過の確認がされて今後の仕事に反映 できれば、立派な樹木医の仕事となる。なにも古木・名木の外科手術だけが樹木医の仕事ではないということが、私の中に樹木医としての方 向性を見出すきっかけとなりました。

 そこで、受験申込書の実施事例・研究事例を記載する欄にはそれらの土壌改良や樹勢回復の事例を書きましたが、私はこの文章をかなり気 合いを入れて頭を絞って書きました。要点を簡潔に書くことと、なるべく専門用語(と思われる言葉)を使って書くことを心がけました。また、 どのような処置を行ったかも大切ですが、処置後の考察・研究成果をいかに今後に役立てるかという視点がより大切なのではないかと思います。

 その後は問題集と講習会の内容を参考に勉強を進めました。問題集には答えは載っているのですが、どうしてその答えになるのかは自分で 調べる必要があり、そうしないとその答えを「覚えた」ことにはなりません。丸暗記は通じないと思った方がいいでしょう。

 私は参考書として、過去の「ツリー・ドクター」や「樹木医の手引き」、「樹木医ハンドブック」、「現代の樹木医学」、その他樹木の生理に 関する本や病害虫の本などを読みましたが、受験後に感じたのは森林生態学や地球環境問題など広い視野の樹木に関する知識も求められてい る、ということです。これから受験される方は新聞などの環境に関係する記事をよく読んでおくことをお勧めします。

 樹木が土壌環境や微気象にも相互に影響しあいながら生きていることを考えると、その樹木の存在価値は景観や文化面といった近視眼的な 側面だけではなく、環境や生態系に与える影響も考慮していくことが、これからの樹木医には必要なことではないでしょうか。私はまだ試験 に受かっただけで、樹木医とはほど遠いインターンみたいなものですが、これから樹木医としての仕事をしていくにあたって、今必要なのは人 間としての狭い視野なのか環境や生態系といった広い視野なのかを見極めるカメラを頭の中に持っていたいと思います。今はそれが、私が樹 木医と名乗るための資格ではないかと思うのです。