本支部は樹木の樹勢回復及び保全育成に関する技術の向上を図り、巨樹老木等に対する県民の意識を高揚するとともに、樹木医の業務について理解を深め、併せて会員の社会的地位の向上を図っています。
「美観地区のヤナギの傷みが激しい・・・なんとかならんかなー」とテレビ報道で取り上げられた事を契機に平成16年度倉敷市より、日本樹木医会岡山県支部に対して美観地区のヤナギの樹勢診断の依頼があった。
この「美観地区のヤナギ」とは倉敷駅から南へ徒歩10分ほどの距離にある大原美術館などの文化施設の多い一角にあり、この一帯は伝統的建造物群保存地区としても指定され多くの観光客を集める倉敷の顔として全国的にも知られている。
今回調査依頼を受けたヤナギは、この倉敷川沿いに植えられているヤナギ79本であり、調査の結果、幹周1000mmを越える老木のほとんどは根株及び心材腐朽が進行していて樹皮一枚で危うく生きている木も多い。
記録によるとこの美観地区のヤナギは昭和30年代初頭に植えられたもののようで40~50年を経過し、枯損により新しく植え替えられているヤナギが7割を越えているが、今回の調査により治療を要するヤナギは、そのほとんどがこの40~50年生き続けてきた老木であり、これらをどう治療するかが調査に関わった支部のスタッフの間でも意見が分かれた。現在の樹木医の技術では、これらの樹木を費用をかけて治療すれば再生させることは可能ではあるものの、比較的生長が早く、街路樹として植えられているヤナギであれば、コスト的に考えれば植えなおしたほうがいいか・・・。さらに心材腐朽や根株腐朽の原因とその対策・・・。
年度末の多忙な時期にやっとまとめを行い、県支部全員の協議も終えないまま報告書の提出は終えたものの、具体的な治療は今後の課題として継続審議される。
又、平成17年度岡山県支部の総会は、この美観地区のヤナギ治療を議題に4/23倉敷での一泊研修を実施予定である。